[2021.06.04]
近年の日本では少子高齢化による人手不足が深刻化してます。厚生労働省の調査によると、ここ10年程度有効求人倍率が右肩上がりで推移しており、企業側にとっては人材採用に苦労する状況が続いています。このような状況において、優秀な人材の確保や離職率の低下を実現するためには、従業員にとって魅力的な職場環境を整備しなければなりません。
あらゆる職場において「自分が望むタイミングで給与を受け取りたい」と希望する従業員が増えています。そのため、福利厚生の一環として「給与前払いサービス」を導入することで、応募者数の増加が期待できます。また、従業員の満足度が高まれば定着率も向上するでしょう。
そこで、本記事では、給与前払いサービスの導入を検討中の企業経営者や担当者に向けて、メリットや導入時の注意点について徹底解説します。
給与前払いサービスとは、給与支払日を待たずに自由なタイミングで、それまでに働いた分の給与を受け取れるサービスです。近年、人手不足が深刻化するなか、求人の応募者数の増加や離職率の低下につなげる目的で、福利厚生の一環として給与前払いサービスを導入する企業が増えています。
日常生活を送るなかで、様々な理由から急にお金が必要になる状況に直面することがあります。冠婚葬祭はもちろんのこと、突発的に知人や友人から飲み会や旅行といったイベントに誘われる、限定品が発売されるなどの事情によって想定外の出費が続き、手元のお金が枯渇してしまうこともあるでしょう。
企業が給与前払いサービスを導入すれば、従業員はいつでも勤怠実績に応じた給与相当額を払い出すことが可能になるため、従業員の満足度が向上することは間違いありません。
まず、給与前払いサービスを導入した場合の企業側におけるメリットについてご説明します。
2.1採用応募数の増加につながる
求人サイトにおける検索ワードランキングでは、「日払い」「前払い」のようなワードは常に上位を推移しています。また、「給与前払いサービスを導入したところ、応募者数が数倍になった」というアンケート調査の結果もあります。
「すぐに給料を受け取れる」という条件は、労働者にとって魅力的です。給料の支払日が月1回に固定されている場合、手持ちの残高が不足していて限定商品やセール品の購入をあきらめるケースがあります。アルバイト、正社員にとって、好きなタイミングで給料を受け取れることはメリットといえるでしょう。
このような事情から、福利厚生の一環として給与前払いサービスを導入すれば応募者の増加を期待できます。人手不足に悩んでいる企業経営者や人事・採用担当者は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
2.2離職率の低下に役立つ
「せっかく採用したのに、早期離職してしまう人材が絶えない」とお悩みの人事担当者もいるのではないでしょうか。
企業規模や業種によって差がありますが、原因の一つとして「福利厚生制度が整っていないこと」が挙げられます。
福利厚生には、従業員のエンゲージメントを高める効果があります。無料の社員食堂や施設利用料の割引などさまざまなものがありますが、「給与前払いサービス」も福利厚生のためのサービスのひとつです。給与前払いサービスを導入すれば、働くとすぐに給与を受け取ることができるため、従業員の満足度が向上し、就業意欲の醸成や離職率低下につながります。
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2.3経理部門の負担軽減
すでに給与前払いの対応をされている企業では、自社の経理部門の負担が軽減される点も、給与前払いサービスを導入するメリットといえるでしょう。
給与前払いサービスは、勤怠管理・給与計算システムを連携させておくことにより、自動的に勤怠実績から支払い可能額が計算され、従業員が希望するタイミングで支払いが実行されます。従業員から申請対応や勤怠管理や給与計算など支払いまでの工数や、銀行やATMでの振込対応など、大幅な工数削減が可能です。
給与支払い業務は企業にとって必要不可欠なものですが、どんなに時間や労力を費やしても、売上の増加にはつながりません。給与前払いサービス提供業者に業務を任せてしまえば、導入企業は本来の業務に専念できるようになり生産性が向上します。
次に、給与前払いサービスを導入した場合の従業員側においてのメリットについてご説明していきます。
3.1いつでも給与を受け取ることで、キャッシュフローが改善する
勤務先の企業が給与前払いサービスを導入すれば、従業員側は「自分の好きなタイミング」で給与を受け取れるというメリットを享受できます。
生活をするなかでは、しばしば急にお金が必要になることがあります。冠婚葬祭、期間限定セール、知人・友人による突発的な飲み会・旅行への誘いなどのイベントが発生し、給与支払日前は手持ちの残高が枯渇しそうになったことはありませんか?。そのような際に、お金を借りたりせずに使える給与前払いサービスは一つの解決策になり得るでしょう。
3.2カードローンやキャッシングに頼らなくて済む
人から借りたり、カードローンやキャッシングを利用するという選択肢もありますが、そのような「借金」をすることで返済期限や利子を巡ってトラブルが発生する可能性も拭えません。給与前払いサービスは、勤怠実績に基づいて「すでに働いた分」の給与を支払う仕組みであり、融資ではないため、従業員が借金や利子の返済負担を抱えるリスクを回避できます。従業員の生活の中での安定したキャッシュフローを形成するために、前払いサービスは有効であるといえます。
以下、給与前払いサービスを導入する際の3つの注意点について説明していきます。
4.1導入費用を確認しておく
給与前払いサービスを導入する際、企業側にさまざまなコストが発生します。申し込む前に、サービス提供業者の公式サイトを閲覧したり資料を請求したりして、初期費用や月額費用がどのくらいかかるのかを確認しましょう。
初期費用・ランニングコスト、従業員負担はサービス提供会社によって様々異なります。企業側としては、なるべく安いサービスを導入したいところですが、従業員が支払う手数料との兼ね合いも考えなければなりません。企業側の負担が軽いサービスは、従業員側の負担が重い傾向が見受けられる点に注意しなければなりません。
また、既存の勤怠管理・給与計算システムとの連携が必要になるため、その運用コストについても検討すべきです。サービスによって異なりますが、一般的には「ファイルのアップロード」「バッチ処理」「API連係」というような方法が用意されています。社内に担当者を置く必要があるかどうかという点も確認しておきましょう。
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4.2社内ニーズはあるのか?
社内ニーズの調査も不可欠です。福利厚生の一環として導入するものなので、従業員が望むサービスを選択しなければなりません。「許容できる手数料」や「どの金融機関の口座を保有しているか」などについて、従業員にアンケート調査を行いましょう。
また、従業員が前払い分の給与を受け取る方法や、その際に負担する手数料も、様々です。ATMから引き出す際に1回あたり数百円~数千円程度の金額が手数料としてかかるサービスもあれば、申請金額の数パーセント分が差し引かれて従業員の口座に振り込まれるサービスもあります。
企業側の導入・運用コストを優先し、従業員側の手数料が割高で利用しにくいサービスであれば、福利厚生制度としての意味がありません。従業員が利用しやすい仕組みと料金体系であることが重要です。
4.3安全なサービスであるか
給与前払いサービスを導入する際は、「法的観点」や「セキュリティ」という面から安全なサービスであるか検討することも大切です。
経済産業省公式サイト内の「グレーゾーン解消制度」のページを見ると、さまざまな給与前払いサービスに対する法的見解が示されています。グレーゾーン解消制度とは、現行の規制の適用範囲が不明確な場合に、具体的な事業計画に即して規制の適用の有無を確認できる制度です。産業競争力強化法に基づく制度であり、給与前払いサービス事業者も、自社の事業の適法性を確認するために利用しています。
「貸金業に該当するか否か」「労働基準法に違反していないか」という点について、金融庁や厚生労働省による回答を閲覧することも可能です。なお、サービス提供業者の公式サイトなどにも、法的見解が示されていることがあるので確認しましょう。
ちなみに、給与前払いサービス提供業者は、資金移動業者として登録しているケースと登録していないケースがあります。資金移動業者が運営するサービスであれば、お金を預かる信頼と信用があるのに加えて、デジタルマネーによる給与払いが解禁された際に、スムーズに電子決済への対応を行えるでしょう。
セキュリティの面でのチェックも忘れないでください。近年、さまざまな業者がキャッシュレス決済分野に進出し、「フィンテック(FinTech)」という単語を見聞きする機会が増えています。しかし、セキュリティホールが原因で不正利用されるサービスも存在するので、手数料の安さだけを材料にして判断することは危険です。技術力のある企業が開発・運営しているサービスを選ぶことをおすすめします。
少子高齢化の影響で人手不足に悩まされる企業が増加しています。人材の確保や定着のためには、魅力的な職場環境を整えなければなりません。福利厚生の一環として給与前払いサービスを導入することも検討しましょう。
給与前払いサービスを導入すると、企業側も従業員側もさまざまなメリットを享受できます。導入費用や社内ニーズ、安全なサービスであるかどうかを確認したうえで、最適なサービスを選んでください。本記事が、給与前払いサービスのメリットや導入時の注意点について知りたい方のお役に立つことができれば幸いです。