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給与ファクタリングは違法?従業員を守る「給与前払い」とは

[2021.04.17]

目次

    「給与ファクタリング」という言葉を聞いたことがありますか?

    金融機関からお金を借りることに対して抵抗を感じ、利用したことがある/利用したいと考える人もいるかもしれません。

    しかし、違法業者やヤミ金業者が関わっているなど、怪しい点が多いのも事実です。実際、給与ファクタリングを利用し、トラブルに巻き込まれている方も多くいらっしゃいます。今回は、給与ファクタリングの違法性、悪徳業者の摘発事例などをご紹介します。

    給与ファクタリングとは

    給与ファクタリングとは、給与を対象にして行うファクタリングサービスのことを指します。

    ファクタリングとは、本来企業が取引先に対して持つ売掛金債権を買い取るサービスのことです。手数料はかかりますが、売掛金の支払期日よりも早く現金を手にすることができ、資金繰りを改善することができます。

    ファクタリング業者が売掛金を回収する方法は主に2通りあります。そのうち1つは取引先企業から直接回収する、債権譲渡の形を採っています。3社間ファクタリングと呼ばれており、ファクタリングでは主流になっている方法です。

    もう1つはサービスを利用する企業が通常通り取引先から売掛金を回収し、その後ファクタリング業者に支払うという方法です。こちらも債権譲渡の形ですが、業者が取引先と直接関わることがないため、2社間ファクタリングと呼ばれています。

    ファクタリングは主に法人で利用されていた資金調達サービスで、一般消費者が給与の前借をするためにできたサービスが給与ファクタリングです。
    ただし、利用者は通常通り勤務先から給与を受け取り、事前に前借していた業者へ返済する2者間ファクタリングの方法が一般的で、業者が勤務先と交渉するなど直接関わることはありません。そのため、従業員は勤務先に知られることなく、給与ファクタリングを利用できるということになります。給与ファクタリングは一見すると便利なサービスのように思えるサービスですが、一方でさまざまな問題が指摘されています。

     

    給与ファクタリングは違法なのか?

    給与ファクタリングは違法性が指摘されることが多くありますが必ずしも違法というわけではありません。しかし、違法な手段で給与ファクタリングのサービスを提供する業者が多いのが現状です。では、どのような点を見て給与ファクタリングが違法かどうか判断すればよいのか見ていきましょう。

    給与ファクタリングサービスを提供するには貸金業登録を済ませておかなければなりません。貸金業登録を受けていないヤミ金融業者を利用すると、様々な被害や生活破綻につながるおそれがあります。

    クレジットカード会社やローン会社などの広告などに、「〇〇財務局長(1)第00000号」などの表記を見かけたことがある方もいるでしょう。その表記があることで、貸金業登録を済ませている業者かどうか確認できます。
    「〇〇県知事(1)第00000号」のような表記の場合も貸金業登録済みです。1つの都道府県内でのみサービスを提供する業者は都道府県知事から登録を受けます。財務局長から登録を受けている業者は、複数の都道府県にまたがってサービスを提供する業者です。

    これら表記のない業者が給与ファクタリングを行なっているとすれば違法ということになります。広告やホームページなどを確認できない場合、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」を利用して確認することも可能です。業者名や代表者名、電話番号など一部の情報を入力して検索できるようになっています。もし、ここで情報が出てこなければ、登録していない業者だということがわかるでしょう。また、登録番号から業者名を調べることもできるため、広告やホームページなどに掲載されている登録番号が本物かどうかも確認可能です。

    金融庁の見解は?

    給与ファクタリングは、通常のファクタリングと同様に債権譲渡だと解釈する方もいるかもしれません。貸金業者登録をせずに給与ファクタリングのサービスを提供している業者の多くもそのように主張しています。

    しかし、金融庁では給与ファクタリングを業として行うには貸金業者登録が必要という見解を示しています。その理由は、労働基準法に給与は全額本人に支払わなければならない旨が規定されているためです。業者が給与を買い取っても本人以外の人物が受け取ることはできないため、本人に請求することになります。このことから、債権譲渡という建前をとっていても貸付と同じだと判断されました。

    また、給与ファクタリングにおいて手数料という名目で差し引かれる金額は利息として扱われます。そのため、出資法で規定されている上限金利を守らなければなりません。利息がその上限金利を超えていれば違法ということになります。
    例えば、給与のうち10万円分を給与ファクタリングを利用し、手数料が3万円だったとしましょう。最初に手数料分を差し引いた7万円が業者から交付されますが、給料日には7万円に手数料を足した分の10万円を業者に支払わなければなりません。

    一方で、給料日は通常月に1回以上あるため、お金を借りる期間は1ヶ月未満でしょう。仮に15日として年利換算すれば1,042%にもなるのです。法律上の上限金利を大幅に超えています。しかし、通常のキャッシングなどと異なり「年利〇〇%」という形では表示されていないため、気が付かない利用者も多くいます。

     

    【最新】違法給与ファクタリング事例

    違法な給与ファクタリングで摘発された事例をご紹介していきます。いずれの事例も貸金業登録を済ませておらず、手数料も法律上の上限金利を超えているというものでした。

    3.1全国で初めて給与ファクタリングを摘発したのは大阪府警

    令和2年7月に全国で初めて違法な給与ファクタリング業者が摘発されました。貸金業登録を済ませていなかったということで、従業員4人が貸金業法違反で大阪府警に逮捕されたという事例です。この事例では金利も年利630~1,620%と法定金利を大幅に上回っていました。そして、わかっているだけでも4ヶ月間で2,800人もこの業者を利用した人がいたそうです。利用者から返済された金額は合計で1億1,800万円にものぼります。
    出典:https://www.psrn.jp/topics/detail.php?id=12251

    3.2北海道で摘発された東京都内の業者の事例

    令和3年2月に、北海道内の人が利用した東京都内の給与ファクタリング業者が北海道警に摘発され、役員ら5人が逮捕されました。この業者も貸金業登録を行なっていないということで、出資法違反の疑いが持たれています。

    摘発時点で判明している利用者(被害者)は北海道内外の5人ですが、その後判明した人数も含めると1,200人以上にのぼるそうです。貸付額も摘発時点では合計163万円でしたが、1億円以上にのぼるものとされています。この事例ではインターネット広告を通じて利用者を募っていたそうです。
    出典:https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20210226/7000031168.html

    3.3福岡県での摘発事例

    令和3年1月には福岡県で貸金業登録を済ませていない業者が、給与の前借りという名目で貸付を行い摘発された事例があります。この業者の社長と社員3人の合計4人が逮捕されました。手数料も法定金利を上回っており最大で法定金利の19倍だったそうです。
    出典:
    https://news.yahoo.co.jp/articles/5300a1668c926f157692c72fabf5f2e1ac4d3a4f

     

    給与前払いサービスがおすすめ!

    給与ファクタリングを利用していても、利用者の勤務先ではそのことを知る術はありません。現在、給与ファクタリングを利用している従業員はいなくても、今後利用する従業員が出てくるかもしれません。

    企業が従業員を守るためには、違法な給与ファクタリングを利用しなくても済むような体制づくりが必要です。そのための方法として給与前払いサービスの導入が挙げられます。また、従業員に対して給与ファクタリングのリスクについてよく周知しておくことが大切です。
    給与ファクタリングと給与前払いサービスの違いとは?

    4.1給与ファクタリングはリスクも多い

    違法な給与ファクタリングが横行する主な原因は、手数料が非常に高額だとわかっていても利用する人がいるためです。通常であれば、お金を借りる必要があるときには、銀行や消費者金融などから借りるでしょう。しかし、事情があって借りられない人もいるため、悪い業者に目を付けられてしまいます。違法な給与ファクタリングでは、あらかじめ法定金利の何十倍もの利息を差し引いており、給料日当日に回収を行います。これは、利用者にとって非常に不利な条件です。

    また、給料日当日には、利用時に受け取った金額だけでなく差し引かれた利息も合計して業者に支払わなければなりません。そのため、全額支払えなくなる可能性もあるでしょう。そのような場合には、業者が勤務先まで取り立てに来る可能性もあります。違法な給与ファクタリングを行なっている業者は主にヤミ金業者などが大半です。

    給与ファクタリングを利用することで、多重債務に陥る可能性もあります。給料日に返済できなければ、手数料という名目で日ごとに利息を加算する業者が多いです。そうなると、ヤミ金業者から借入をするのと全く変わらない状況になってしまいます。

    4.2給与前払いサービスとは

    給与前払いサービスとは給料日よりも前に給与を受け取れるサービスです。企業があらかじめ前払いサービスの業者と提携することで、その企業に勤務する従業員が利用できるようになります。給与ファクタリングと違い、実態として見た場合でも、貸付ではなく給与を早めに払ってもらえるという内容です。

    業者により利用方法は異なりますが、弊社のサービス「ジョブペイ」では専用のジョブペイカードを用います。従業員はそのカードを使って、働いた分の給与をATMから現金で引き出すことができます。手数料がかかりますが、給与ファクタリングのように法外な金額ではありません。ジョブペイなら1回の利用でかかる手数料は引き出し金額に関わらず440円です。
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    このような給与前払いサービスを導入すれば、従業員がお金に困ったときなどにいつでも自由に利用できます。従業員が給与ファクタリングのようなリスクの高いサービスに手を出してしまうことを防止できるでしょう。従業員を守るという意味でも、ぜひ給与前払いサービスの導入を検討してみてください。また、既に導入している企業の方へは、従業員への徹底した周知をおすすめします。
    給与前払いサービスを導入時の注意点と失敗例はこちら▼

     

    まとめ

    給与ファクタリングとは、利用者が自身の勤務先に対して持つ給与債権を業者に買い取ってもらうというものです。買取時に手数料を差し引いた金額の現金が交付され、給与日に交付された金額に手数料分を加えて業者に支払います。

    建前上は給与債権の買取でも、実態としては給与を担保にした貸付であるケースが多くあります。金融庁でも給与ファクタリングは貸付であり、業として営むには貸金業登録が必要という見解を示しています。手数料も実態としては利息で、法定金利を守らなければなりません。

    また、大半の給与ファクタリングはそのようなルールを守っておらず、摘発事例も出ています。実態としてはヤミ金とほぼ同じです。企業側には従業員が被害に遭わないようにするための対策が求められています。

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