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給与前払いの仕訳はどうなる?効率化の方法も解説!

[2022.04.07]

目次

    従業員から給与の前払い依頼があった際、仕訳・勘定科目はどのように記載すべきか迷う経理担当者は少なくありません。というのも、仕訳・勘定科目には給与前払いというものは存在せず、記入のしようがないためです。

    「前払いしてあげたいけどどう処理すればいいのだろうか」
    「給与前払いって貸付?立て替え?」
    「福利厚生のために給与前払いをスムーズに行いたい」

    などでお悩みの企業、担当者の方のために、今回は給与前払いに関する考え方と仕訳例、立替精算業務を効率化するための方法、給与前払いにおすすめのサービスをご紹介いたします。

    1.「給与前払い」という勘定科目はない

    「従業員から急に給料の前払いを依頼されたけど、勘定科目にはそのまま前払いって書いていいの?」と前払いを依頼された時に迷ってしまう経理担当者は少なくありません。
    結論から言うと、給与に関して「前払い」という勘定科目は存在しません。給与は従業員が行った労働対価として支払われるものであるためです。

    従業員の給与は定められた期間、例えば1ヶ月の基本給が設定されています。月ごとに所定労働日数・時間があり、実際に労働した日数・時間によって給与は算出されなければいけません。
    つまり給与には、「労働対価であり、従業員が実際に働いたことが確認された上で支払われるもの」という性質があります。

    この考えから、労働日数が確定していないタイミングでは給与も確定しておらず、「給与前払い」という勘定項目は存在し得ないことになります。

     

     

    2.給与前払いの仕訳例

    給与前払いは経理処理上、勘定科目に存在しませんが、給与の前払いはどのような考えのもとに仕訳されるのでしょうか。
    ここでは給与前払いの仕訳例を4つご紹介していきます。

     

    2.1前払い(前渡金)

    給料の一部を福利厚生の一環として従業員に前払いする、という考え方ができます。
    これであれば貸付や立て替え等することなく、「前渡金」として仕訳することができます。

    例えば、月給20万円のうち10万円を従業員に前払いした場合、精算表は以下のような形となります。

    このように、前払いをした段階では従業員は10万円を福利厚生費として受け取ります。

    給与の支払いがされた場合は従業員側である借方は給与総額の20万円が記載され、会社側の貸方では前渡金分の10万円と残りの給与を現金という形で記載することとなります。

     

    2.2貸付金

    前払いする現金は「給与」ではなく会社からの「金銭の貸付」である、と考えることもできます。
    これは従業員の信用を担保にして会社がお金を貸すという形です。もちろん貸付であるため、会社と従業員で取り決めた内容にて返済を行わなくてはいけません。

    例えば、月給20万円のうち10万円を従業員に貸付という形で前払いした場合、精算表は以下のような形となります。

    貸付であるため期日までに分割または一括にて返済していくことになります。

    貸付を受けた直後に規定の給与から減額して従業員に渡すことで、返済を受け付けたとすることもできます。ただし、従業員から会社への返済が長期間行われない場合、貸付ではなく給与として扱われるため注意しましょう。

    貸付の場合は源泉徴収が不要ですが、長期間の返済がされずに給与とみなされた場合は源泉徴収をする必要がでてきます。
    また、給与扱いになった時点で「貸付金」から「給与手当」または「給与賃金」に仕訳も変更しなければなりません。このような面倒な処理が発生しないためにも、貸付としたならば何らかの形で返済させるようにした方がよいでしょう。

     

    2.3仮払金

    給与の前払いを、従業員が使用する経費として解釈することもできなくはありません。
    その場合は勘定項目に「仮払金」として処理することも可能です。

    仮払金の場合は以下の形となります。

    ただし、仮払金はその名の通り、「仮」のものでしかありません。

    本来、例えば交通費であると判明した場合は正しく該当する勘定科目に切り替える必要があります。
    つまりこの場合も、「仮払金」のままにするのではなく、後に福利厚生費や貸付金、給与手当といった形に勘定科目の振替処理をする必要があるので覚えておきましょう。なお、貸付金とした場合は返済をすることになるので忘れないようにしましょう。

     

    2.4立替金

    給与の前払いを、会社が一時的に立て替えたお金であると解釈することもできます。
    その場合は勘定項目に「立替金」として処理することができます。

    立替金の場合は以下の形になります。

    立替金とは本来、従業員または取引先が支払うべきお金を会社が一時的に立て替えて支払う、といった時に使われる勘定科目です。つまり、前払いされたお金はあくまでも一時的に会社が払ってあげているだけであり、将来的には会社は回収することになります。

    貸付金と似ているようですが、立替金は利息がつかないという違いがあります。これは、貸付金は一定期間で返済をすることに対し、立替金は一時的なものであるという性質の違いがあるためです。
    ・貸付金:一定期間かけて返済(利息あり)
    ・立替金:一時的な立て替えですぐに返還される(利息なし)

    ただし、立て替えた金銭が長期間にわたって会社に返還されない場合は貸付金としてみなされるため、改めて処理する必要があります。

     

     

    3.前払いの仕訳を効率化する方法

    給与の前払いの精算業務は何かと面倒なことが多く煩雑になりやすいのが特徴です。
    経理担当者にとっても勘定項目をどうすべきか考えたりなど面倒な業務が増えてしまいます。
    精算業務をなるべく効率よくスムーズに行うためにはどうするべきか、ここでは2つの方法をご紹介します。

     

    3.1給与前払いサービスを利用する

    給与前払いサービスは、従業員が好きなタイミングでその時点までの働いた分の給与を自由に受け取ることができるサービスです。

    担当者としても予め決められた勘定科目で給与支払いの処理がされるため、企業としては仕訳で迷うことなく、さらに、給与前払い業務までも効率化することができます

    預託型・立替型の2種類があり、弊社のサービス「ジョブペイ」は預託型の給与前払いサービスです。
    預託型とは企業が事前に業者へ預託金を預け、その預託金から従業員へ前払い分が支払われる仕組みです。

    事前に決めた勘定科目を基に、給与計算から支払いまでの処理を自動化できるため、経理担当者の手間を省くことができます。

     

    3.2会計ソフトを導入する

    前払い仕訳業務を効率化する方法として会計ソフトや経費精算システムの導入があります。会計ソフトやシステムによって異なりますが、以下のような機能を持っています。

    ・仕訳を自動で行うことができる
    ・カード利用明細から立替精算書を作成できる
    ・Webで申請できる

    給与の前払いは定期的に発生する業務なため、都度会計処理していては手間がかかりますが、会計システムを導入することで工数を削減することができます。

    また、会計ソフトには自動計算機能が搭載されているため、計算ミス等の発生も防ぐことが可能です。万が一社内規定に反する申請が発覚すればエラーとなる機能を持つシステムもあるため経理業務は円滑に進むことでしょう。

     

     

    4.まとめ

    従業員にとって給与の前払いができることは福利厚生上とても有意義なことです。給料日前に急な入り用でお金が必要な時でも、まとまった金額を手にすることができれば、安心して生活することができます。

    とはいえ、経理担当者にとっては頭の痛いことでもあります。給与の性質上、勘定項目には前払いといったものは存在しないためどのように処理すべきか迷ってしまうためです。実際に前払いをすることとなった場合は、ぜひ今回の記事を参考に精算表を記入してみてはいかがでしょうか。

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