[2022.02.15]
近年、キャッシュレス決済が急速に普及しつつあるものの、依然としてさまざまな場面で現金が必要になります。「外出中に現金が急に必要になったけれども、キャッシュカードを持っていなかったのでATMから引き出すことができなかった」という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ちなみに、利用している銀行がスマホATM(スマートフォンのアプリを使って、ATMから現金の出入金を可能にするサービス)に対応していれば、キャッシュカードを持ち歩いていないことが原因で現金を引き出せないという事態を回避できます。今現在、全ての銀行がスマホATMに対応しているわけではありませんが、少しずつサービスを提供する銀行が増えています。
本記事では、「キャッシュカードを持ち歩かずに、スマートフォンひとつで快適に現金の出入金を行いたい」という方に向けて、スマホATMのサービス内容やメリット、注意点について解説し、具体例として4つの銀行が提供するサービスをご紹介します。
スマホATMとは、スマートフォン用アプリを使用することによって、ATMで現金の出入金を可能にするサービスです。アプリを起動し、ATMの画面に表示されたQRコードを読み取るだけで現金の出入金を行えます。
スマホATMを利用するためには、事前にアプリのインストールや初期設定などが必要になりますが、それさえしておけばキャッシュカードなしで快適な生活が可能になります。
キャッシュカードを持ち歩かずにスマホ1つでコンビニエンスストアなどのATMから現金を引き出せるので、サービス対応している銀行口座を開設している方は利用してみてはいかがでしょうか。
なお、スマホATMを日本で初めて全国展開したのは、auじぶん銀行です。その後、次第にサービスを提供する銀行の数が増加し、今現在ではセブン銀行、ローソン銀行、住信SBIネット銀行などがスマホATMに対応しています。
参考:auじぶん銀行「「スマホATM」サービスを開始~日本初、スマートフォンによるATM入出金サービスを全国で展開~」
「スマホATM」の利便性が評価され「Global Retail Banking Innovation Awards 2020」において「最優秀ATMイノベーション賞」を受賞
スマホATMのメリットとして、「キャッシュカードを持ち歩く必要がない」「紛失時のセキュリティ向上」「コンビニATMだから24時間利用可能」の3つが挙げられます。以下、それぞれについて詳しく説明していきます。
最近はスマートフォン決済サービスが普及しているため、コンビニエンスストアなどで買い物をする際に財布を持って行かない方が増えていますが、「せっかくコンビニエンスストアに来たので、買い物のついでにATMで現金を引き出したい」や「急用で今すぐに現金が必要なった」という状況になる方もいるのではないでしょうか。
利用している銀行がスマホATMに対応していれば、スマートフォンを使ってATMから現金を引き出すことが可能です。財布やキャッシュカードを持ち歩く必要がなく、スマートフォン1つでショッピングのついでや緊急時に現金の出入金を行えるので快適かつ便利です。
スマホATMだと、たとえスマホを紛失したとしても悪用される可能性がかなり低くなります。
理由はスマホやアプリのログイン時にパスワード、現金の入出金時に暗唱番号の入力が求められる等、幾重にもセキュリティ管理が行われているからです。キャッシュカードの場合、拾った方が暗唱番号さえわかってしまえば現金の入出金が可能なので、悪用されてしまうかもしれません。
通常のATMは夜間や早朝に利用することができません。しかし、スマホATMサービスはコンビニATMに対応しているため、24時間利用できるという特長があります。
スマホATMは冠婚葬祭や病気、ケガなどの急に現金が必要になる事態において心強い味方になるでしょう。
以下、スマホATMサービスを利用する際に注意すべき点を説明していきます。
従来のATM利用方法であれば、仮に暗証番号を他人に知られてしまっても、キャッシュカードを持っていなければ不正出金を実行できませんでした。しかし、スマホATMの場合、何らかの原因で認証情報が漏洩してしまうと不正出金の被害に遭う可能性があります。
実際に2020年6月から7月にかけて「フィッシング被害によって認証に必要な情報が窃取され、スマートフォン用アプリを不正利用されて、現金を引き出された」という事件が数件発生しています。
不審なEメールやショートメッセージ(SMS)に記載されているURLはフィッシングサイトに誘導するトラップかもしれないので、不用意に開いたり怪しいサイトでパスワードを入力したりしないようにご注意ください。
万が一、パスワードや認証情報(キャッシュカードの裏面に記載されている確認番号表、SMSで送られてくるワンタイムパスワードなど)を第三者に知られた場合は、すぐに銀行へ連絡しましょう。
参考:auじぶん銀行「昨日および本日の一部報道について 2020年10月14日」
スマホATMサービスは、コンビニエンスストアに設置されているATMでしか利用できないケースがあります。
例えばauじぶん銀行の場合、キャッシュカードを使えば三菱UFJ銀行やゆうちょ銀行のATMで出入金を行えますが、スマートフォン用アプリを使った出入金についてはコンビニエンスストア店内に設置されているセブン銀行、ローソン銀行、EnetのATMにおいてのみ可能となっている点にご留意ください。
コンビニエンスストア店内に設置されているATMは通常24時間利用可能です。ただし、まれにシステムメンテナンスをしていて利用できないことがあります。
例えば、auじぶん銀行の場合、勘定系システムの移行準備のために、2021年5月1日から5月4日にかけてスマホATMサービスが停止されていました。
このようにメンテナンスによって数日間スマホATMによる出入金ができなくなることがあるので、時々、銀行の公式サイトに掲載されている情報をチェックしておきましょう。
参考:auじぶん銀行「【再掲】【重要】新システムへの移行に伴うオンラインサービス臨時停止」
現時点ではまだ、全ての銀行がスマホATMサービスに対応している訳ではありません。しかし、デジタル技術(フィンテック)の活用が盛んになっているため、今後はスマホATMサービスを提供する銀行が増えることが期待されます。以下、auじぶん銀行、セブン銀行、ローソン銀行、住信SBIネット銀行のスマホATMサービスについて紹介していきます。
auじぶん銀行は、2017年3月27日に日本で初めてスマホATMサービスを全国展開しており、セブン銀行、ローソン銀行や三菱UFJ銀行等のATMにおいて現金の出入金を行えます。
なお、最初にアプリのインストールや初期設定を行わなければなりませんが、それ以降は手間なく使えるようになるので、暇なときに済ませておくと良いでしょう。
出入金の流れは、基本的にセブン銀行ATMもローソン銀行ATMも同じで、ATMの画面に表示されたQRコードをアプリで読み取ることによって簡単に実行できます。
ちなみに、auじぶん銀行のスマホATMサービスは、2020年11月23日に「Global Retail Banking Innovation Awards」において「Best ATM Innovation」(最優秀ATMイノベーション賞)を受賞しました。
このように第三者からも革新性を評価され、利用者にとって利便性が高いサービスとなっていますが、案内に従って操作していくことで簡単に初期設定を完了できるので、auじぶん銀行の口座をお持ちの方はスマホATMサービスで出入金を試してみてはいかがでしょうか。
セブン銀行は、「セブンイレブン店内に設置してあるATMにおいて、アプリをインストールしたスマートフォンを使うことで現金の出入金を行えるサービス」(スマホATM)を提供しています。
スマホATMサービスを利用する際には、スマートフォン用アプリ(Myセブン銀行)を利用します。ATMの画面上でQRコードを表示させてアプリで読み取り、その後画面の指示に従って操作していけば、キャッシュカードなしでスムーズに出入金を実行できます。
ちなみに、セブン銀行のATMなら、出入金だけではなく、ローンサービスの取引(借入・返済)においてもキャッシュカードが不要です。また、自行だけではなく他行(auじぶん銀行など)のスマホATMサービスにも対応していることが特長です。
買い物をするためにセブンイレブンに行った際は、ついでにスマホATMサービスも利用してみてはいかがでしょうか。
参考:セブン銀行「スマホATM」
スマホATM(セブン銀行口座)
ローソン銀行では、ローソン店内に設置されているATMにおいて「スマホATM(QR出入金)」サービスを提供しています。auじぶん銀行および住信SBIネット銀行の口座からの出入金に対応しているほか、ノンバンクからの借入や返済にも対応しています。
ただし、現在ではローソン銀行の口座からの出入金には非対応となっている点にご注意ください。
スマホATMで出入金を行う際には、まず、ローソンauじぶん銀行または住信SBIネット銀行のアプリを使ってATM画面上に表示されるQRコードを読み取りましょう。その後、画面の案内に従って操作していけば、キャッシュカードなしで簡単に出入金を行えます。
auじぶん銀行や住信SBIネット銀行に口座をお持ちの方は、ローソンに買い物に行くついでに現金の出入金を実行してみてはいかがでしょうか。
参考:ローソン銀行「スマホATM(QR入出金)」
ローソン銀行の口座からスマホATMでの入出金はできますか?
住信SBIネット銀行は、2020年10月29日から、スマートフォン用アプリ(「住信SBIネット銀行」)を使うことによってセブン銀行およびローソン銀行のATMで現金の入出金やカードローンの借入・返済を可能にするサービス(「アプリでATM」)を開始しました。
アプリをインストールし、認証サービス(「スマート認証NEO」)の登録を行えば、買い物などでコンビニエンスストアに立ち寄った際に、キャッシュカードを使うことなく、ATMで現金を引き出したり、預け入れたりすることが可能になります。
「アプリでATM」を利用する際には、住信SBIネット銀行のアプリを利用します。、提携している銀行のATMを操作し、QRコードをスマートフォンで読み取り、案内に従って操作していくことで簡単に出入金を実行できます。
参考:住信SBIネット銀行「アプリでATM」
「アプリでATM」サービス開始のお知らせ~キャッシュカード不要でコンビニATMでの入出金が可能に~
スマホATMは、スマートフォン用アプリを使ってATMから現金の出入金を可能にするサービスです。「財布を持ってくるのを忘れてしまった」「急に現金が必要になったけど、キャッシュカードを持っていない」という場合でも、スマートフォンを持っていれば現金を引き出せます。
なお、コンビニエンスストアに設置されているATMは多機能化しており、銀行口座からの出入金以外に、電子マネーやスマートフォン決済サービスの残高へのチャージもスマートフォンを使って実行可能です。
今現在ではまだ、全ての銀行がスマホATMに対応している訳ではありませんが、金融機関によるデジタル技術の活用が急速に広まっているため、これからもっと多くの銀行がスマホATMに対応していくことが期待されます。
本記事が、スマホATMのサービス内容やメリット、注意点について知りたい方のお役に立つことができれば幸いです。